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ちく森 [読んだ本 / 好きな文章]

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『ちくま文学の森』という、古今東西の作家による短編を集めた全10巻の文庫があって、ずっと前に買って放置してた『美しい恋の物語 』(ちくま文学の森1)と『悪いやつの物語 』(ちくま文学の森7)の2冊を交互に読み進めてたんだ。寝る前に、薄れゆく意識のなか半目開きでちょこちょこと。ちなみに、なぜこの2冊を選んだのかは今となっては謎です。

『美しい~』は14編、『悪いやつ~』は21編の話が収めらていて、「名前だけは知っているんだけど実は読んだことなくて…」っていうような有名な人の文章が一冊でいろいろ読めたから、その全部が面白かったわけじゃないけれど、お得感はけっこうなもの。それぞれの収録作品は以下の通り。筑摩書房のホームページよりペーコピさせてもらいます。

『美しい恋の物語』
初恋 島崎藤村/燃ゆる頬 堀辰雄/初恋 尾崎翠/柳の木の下で アンデルセン(大畑末吉)/ラテン語学校生 ヘッセ(高橋健二)/隣の嫁 伊藤左千夫/未亡人 モーパッサン(青柳瑞穂)/エミリーの薔薇 フォークナー(龍口直太郎)/ポルトガル文 リルケ訳(水野忠敏)/肖像画 A・ハックスリー(太田稔)/藤十郎の恋 菊池寛/ほれぐすり スタンダール(桑原武夫)/ことづけ バルザック(水野亮)/なよたけ 加藤道夫


『悪いやつの物語』
囈語 山村暮鳥/昼日中 老賊譚 森銑三/鼠小僧次郎吉 芥川龍之介/女賊お君 長谷川伸/金庫破りと放火犯の話 チャペック(栗栖継)/盗まれた白象 マーク・トウェイン(龍口直太郎)/夏の愉しみ A・アレー(山田稔)/コーラス・ガール チェーホフ(米川正夫訳・編)/異本「アメリカの悲劇」 J・コリア(中西秀男)/二壜のソース ダンセイニ(宇野利泰)/酒樽 モーパッサン(杉捷夫)/殺し屋 ヘミングウェイ(鮎川信夫)/中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜萃 三島由紀夫/光る道 檀一雄/桜の森の満開の下 坂口安吾/女強盗 菊池寛/ナイチンゲールとばら ワイルド(守屋陽一)/カチカチ山 太宰治/手紙 モーム(田中西二郎)/或る調書の一節 谷崎潤一郎/停車場で 小泉八雲(平井呈一)

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まず前者でいちばん面白かったのが『ポルトガル文』(リルケ訳/水野忠敏訳)っていうやつかな。フランス男にフラれたポルトガル人の尼さんが、計5通のお手紙を通してほとばしる情念を叩きつけるッ! その流れるような、かつハイテンションな文面がすげえ楽しかった。きっと訳も上手いんだろうな。そもそもなんで訳者が二人いるんだよ馬鹿と仰りたいでしょうが、これは17世紀のマリアンナ・アルコフォラドっていう実在の尼さんの本当の手紙らしいス。それをドイツのリルケが訳して、さらにそれを…という。人の手紙を勝手に出版すんなよな。
あとは、ウィリアム・フォークナー『エミリーの薔薇』(1930年)が孤独感ビシビシで、伊藤左千夫『隣の嫁』(1908年)が農村エロスぷんぷんでそれぞれ気に入った。尾崎翠の『初恋』(1927年)も爽やかで良かった。フォークナーは短篇集を捕獲。いつか読もうっと。

もう一冊の『悪いやつ~』だと、檀一雄による『光る道』(1956年)がずば抜けて好きです。律令制下の日本、お姫様を連れ出した若者のお話。姫様の純朴さの裏にある何かがちょう怖い。坂口安吾の『桜の森の満開の下』も同じようなテーマで、中世の都を舞台にした女のクレイジーっぷりが面白かった。なんか最近、鎌倉から室町期あたりの中世のドロドロ感というか権力がめちゃくちゃに乱立していた混沌さとかに惹かれる。そう、いま中世がアツい! 今年の夏は中世で決まり! 代官山では水干・直垂がマスト!
さらに、高校生だか大学生の頃に『月と六ペンス』を読もうとして数ページで放り出したサマセット・モームの『手紙』(1926年)が、話そのものは大して面白くはなかったものの、普通の小説として普通に読めたから安心した。谷崎潤一郎が書いた『或る調書の一節』は、読んでいてほんとに胸くそ悪くなった。「悪いやつ」の本なんだから、これこそがテーマ通りの作品なのかもしれないけどねー。

いま読もうと思っててツンドクしてる本が消化できたら、また気まぐれにこのシリーズのどれかを手にとりたいッス。残り8冊、一年に1冊ぐらいのペースが自分にはちょうど良いかも。
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